作品論

ゲルハルト・リヒター

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1/31まで六本木のワコウ・ワークス・オブ・アートで開催されていた「ゲルハルト・リヒター Painting 1992‒2017」を観る。ゲルハルト・リヒターは、現存する作家では間違いなく一番高額な価格で取引されている作家である。しかしその抽象(的)絵画は、とてもマテリアルな作品で、絵画空間というよりマティエールの面白さ、混色の面白さが目立つ。なんとなくワーッと流したような画面が抽象だと言われ続けてかなりの時間が経つが、これはその最高峰かもしれない。

昨今、小さな画面に適当に絵具を乗せたり、流したりしたものを作品として主張する作家も多いが、インテリアの域を超えるものではない。本人がいいのなら別に問題は無いのであるが、そこには形態と空間の概念があまりにも欠けている。

このような一見ピンボケな具象作品もリヒターの代表作である。抽象(的)な作品との差異もあまり感じられない。しかしリヒターの作品はある意味、自信が付く画面であった。なぜ日本ではワコウ・ワークス・オブ・アートでしか個展をやらないのかは不明だが(察しはつくが)、貴重な場ではあるだろうから今後も定期的に続けてもらいたいものである。

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