展覧会情報

「ダリ展」

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国立新美術館で開催中の「ダリ展」に行きました。

今回のダリ展は日本で10年ぶりの大回顧展と
いうことで、250点もの作品が展示されています。

展示室は8室に分かれ、絵画作品・版画・彫刻・宝石・映像など
様々なジャンルで活躍したダリの作品が堪能できます。

作品はほぼ時系列で展示されています。
最初は若干14歳のダリの描いた水彩メインの作品から始まります。

しかし!私はこの展覧会は第1室から順番に観るのではなく
まず第7室からスタートし、次に8室を観て、
そこから1室に戻って鑑賞するのが正しいと思います。
映像は時間がある方はその後観るといいです。

7→8→1→2→3→4→5→6→映像

こんな流れになります。

なぜなら、この展覧会で大変重要な作品が7と8室に集中しているからです。

「素早く動いている静物」
「ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌」
「ラファエロの聖母の最高速度」
「ファン・デ・エレーラーの『立方体論』について」
などの作品です。これらは内容も高度ですし、
体力のある時にゆっくり鑑賞したい作品です。

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「ラファエロの聖母の最高速度」

ダリは日本で人気があり、会場も混んでいますので
1室から順番に観て、その間にある映像も観た場合
7室に着くころには大変疲れていて
重要な作品を前にした時には鑑賞する力が減退しています。
そもそも、完全時系列で鑑賞する必要もありません。
新美術館の展示方針に疑問を感じざるを得ません。
版画集をバラしてそれぞれ額装して点数稼ぎするのもずるいですね(笑)。

まずシュルレアリスムの重要な作品をじっくり観て、
このような作品を描いたダリは
若いころどのように絵画を学んだのか?と
観ていく方が理解しやすいし、余裕をもって鑑賞できます。

しかし、この展覧会がもう1つ残念だったのは
巨大作品5点(内3点は連作)が、
全て国内の美術館所蔵のものであった点です。

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「幻想的風景 暁・英雄的正午・夕べ」
この各249×243cm・251×224cm・247.5×247cmの
巨大テンペラ画の3連作は横浜美術館の所蔵品です。

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「ポルト・リガトの聖母」 油彩 275.3×209.8cmは福岡市美術館の所蔵、

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「テトゥアンの大会戦」 油彩 304×396cmは諸橋近代美術館所蔵です。

高度で巨大な作品はその威圧感・圧倒的な構成力で
展覧会の目玉作品になる場合が多いのは当然です。
それらが全て日本国内所蔵品だけだというのは
展覧会としては手抜きです。不完全です。
「ダリの全貌」とは言えないと思います。

例えば明日10/10まで同じ新美術館で開催中のもう1つの展覧会
「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」での目玉作品
ティツィアーノの「受胎告知」油彩・カンヴァス 410×240 cm
は、ヴェネツィア、サン・サルヴァドール聖堂
から運んできています。それでこそ説得力があります。
これを運ぶのでお金が無くなってしまったのかもしれませんが。

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ティツィアーノの「受胎告知」

スコットランドのグラスゴーにあるケルヴィングローヴ・アートギャラリーから、「十字架のヨハネのキリスト」を
運んできてくれればよかったんですがね・・・(笑)

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「十字架の聖ヨハネのキリスト」

12月12日(月)までですのでお見逃しなく!

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