展覧会情報

「クラナッハ展」

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クラナッハ展 チラシ

只今、上野の西洋美術館で
「クラーナハ展」を開催しています。

西洋美術館はクラーナハと書いていますが
私は、「クラナッハ」と読むほうが好きです。

ルーカス・クラナッハ【Lucas Cranach】
は、1472‐1553のドイツ・ルネサンスの画家です。

ルネサンスというとイタリア・ルネサンスを
よく思い浮かべますが、この人はドイツです。
修業時代は謎につつまれているのですが、
1508年のころには既にいろいろな祭壇画を
描いていたようです。

クラナッハの作品の特徴ですが
彼の描く女性は、神話や聖書に登場する女性でも
非常に生々しく、官能的に描かれています。

正義の寓意

例えば今回「正義の寓意」(1537)という作品が
来日していますが(カタログの表紙にもなってます)
それは正義を擬人化した女性の裸体像です。

その女性は薄いヴェールを纏っています。
普通は当時の絵画表現ですと
そういった場合のヴェールは
裸体全体、あるいは一部を
隠す役割をしているのですが
この作品のヴェールはあまりに薄く、
透明感があり軽やかで、
逆に裸体を強調しています。

裸体画にエロティシズムを
加えた最初の絵画だと言ってもいいでしょうね。

西洋絵画の女性像は
クラナッハから、新しい道を開拓したのです。

朝日新聞でも取り上げられた
「泉のニンフ」も(1537以後)
ジョルジョーネの描いた同じような構図の
ニンフと比べれば幾分官能的な、
一種だらしない感じのニンフで、
多分に人間的です。

ヘラクレスとオンファレ

また「ヘラクレスとオンファレ」(1537)
では、かの英雄ヘラクレスが好色すぎて
顔が歪んでます(笑)

また、クラナッハ以外でも
いろいろな作品が楽しめる貴重な展覧会です。
私の主宰する演習コースで
演習生のお一人が最近取り上げた
マーティン・ショーンガウアーの
「聖アントニウスの誘惑」の
オリジナルや
ピカソの作品、更に
20世紀の現代美術の巨匠
マルセル・デュシャンの
クラナッハ関連作品も観れるお得な展示です。
デュシャンはそのエロスに注目して
クラナッハに興味を示していました。

まあ、森村の作品はいりませんでしたが(笑)

後、レイラ・バズーキという
テヘランの作家の主宰した
ワークショップで、
先程触れた「正義の寓意」を中国の
大芬油画村(模写を専門に行っている村)
の100人の画家に7時間で模写させた
作品がズラリと並んでいる壁があります。
(100枚はなかったと思いますが。)

模写と言うかコピーなんですが、
それが似てるのもあり、
似ても似つかないものもあり、
大変面白いです。
けっこう見飽きなかったです(笑)

会期は2017.1.15までですので
是非お出かけください。
年末年始の美術館の予定は
確認してから行って下さいね。

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