作品論

「サルバトール・ムンディ」は真作か

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

『レオナルド・ダビンチの幻の絵「サルバトール・ムンディ」(救世主)。1500年ごろ描いたとされ、17世紀に英国王チャールズ1世が所有していたが、その後、作者不明の作品としてコレクターの間を転売されていた。2005年に米国のオークションで落札され、その後の調査でダビンチの作品と確認された。
 レオナルド・ダビンチは1452年にフイレンツェ郊外のビンチ村に公証人の子として生まれ、15歳でフイレンツェの工房に入ると、絵画、彫刻、建築、工芸デザインなどに才能を発揮した。29歳でミラノ公の宮廷付き画家兼彫刻家兼工学技術者として招かれると、芸術だけでなく、都市計画や土木、治水、軍事など多方面に携わり、万能の天才と呼ばれた。ミラノでは、解剖学、動物学、数学、光学、機械工学などを研究し、その成果を多くのメモや素描として残している。
 レオナルド・ダビンチは、遠近法、人体比例、シンメトリー、幾何学的構成などの原理を完成させた上、その表現方法を完璧な形で使いこなしたとされる。イタリア・ルネッサンス期の代表的な芸術家として評価されるだけでなく、その後の欧州の芸術にも多大な影響を与えている 【AFP=時事】』

以上のニュースが美術界ならず世界を駆け巡っていますが、私はこの作品はダ・ヴィンチの真作ではないと思います。このキリストのポーズ、表情、祝福を与える手のポーズなど、出典が中世のキリスト像そのものであり、革新的なダ・ヴィンチが描いたとは思えません。彼なら、別のポーズで描いたでしょう。また、水晶玉の描写が、たどたどしく素人の描写を感じさせます。同時代の作品ではあるのでしょうが、ダ・ヴィンチ工房でもなく、周辺の画家でも、帰属でもない別の画家の描写がたまたまダ・ヴィンチと似ていたために起こった間違いだと思います。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*